W036 ジョン・ダンスタブル(John Dunstable またはDunstaple, c1390-1453)は、中世からルネサンス期に活躍したイングランドの作曲家である。その生涯については殆どわかっていない。中世西洋音楽からルネサンス音楽の移行期に重要な役割をした。
イングランドのベッドフォードシャー州ダンスタブル(Dunstable)で生まれたといわれている。音楽家の他に、外交官、天文学者であったといわれる。ノルマンディー知事であるベッドフォード公爵ジョンに仕えた。百年戦争の休戦時にフランスに滞在し、イングランド独自の3度・6度を用いた和声法フォーブルドンをヨーロッパ大陸に伝えるとともに、逆に大陸の音楽をイングランドに伝えた。ダンスタブルによって大陸に伝わった新しい和声法は、大陸の音楽に取り入れられることでポリフォニーに発展し、ルネサンス音楽開始のきっかけとなった。
死去した1453年は、コンスタンティノープルが陥落し、中世の終わりであるといわれ、その年のクリスマスイブに他界したことは象徴的である。ルネサンス音楽は、ダンスタブルの影響をうけたデュファイによりブルゴーニュ楽派へと発展していく。
ダンスタブルはミサ曲やモテットを多く書いたが、その大部分は大陸側で発見されている。モテットとしては"Veni sancte spiritus"が有名である。当時のイギリスの作曲家としては他にリオネル・パワー(Leonel Power)などがおり、誰が作曲したのかはっきりしていない作品も多く、ダンスタブルの作品の正確な数をあげることはできない。
John Dunstable (Dunstaple, c1390-1453)